身近な空港で飛行機を撮影してみませんか?

カメラの趣味というのは、さまざまなジャンルに分かれます。
日常的なシーンを切り取るスナップを撮影することはスマートフォンのカメラでも十分に対応できる時代になりましたが、依然として専門性の高い撮影ジャンルについては、一眼カメラが重宝されます。
その特殊なジャンルの1つに入るのが「飛行機写真」になります。
多くの人にとって移動手段でしかない飛行機ですが、各空港の展望デッキなどで飛行機が離着陸する姿をじっくりと観察することで、各機体の違いや、色々な国の航空会社が互い違いにやってくるなど、飛行機の魅力に気がつくことも少なくないと思います。
筆者自身、この趣味を始めて20年以上が経ちましたが、20年前と比べると空港で飛行機を撮影されている方の数は倍どころでは収まらないほど増え、大衆化したという印象を強く受けます。
そこまでお金をかけずに気軽に飛行機撮影を楽しむことができるようになった現代だからこそ、身近で特別感に溢れる飛行機の撮影を始めてみませんか?
飛行機撮影に必要なカメラ、レンズは?

飛行機撮影を始める上で必要となるのが、カメラやレンズの存在です。
近年スマートフォンのカメラ性能が向上していることから、スマートフォンでの撮影もできるのではないか?と思いがちですが、飛行機撮影においては、まだ一眼カメラの存在が必須と言えます。
その理由として「撮影時の安定性」と「望遠撮影時の性能」の2つが挙げられます。
スマートフォンには、ファインダーやグリップが存在せず、画面だけを見ながら飛行機を追いかけて撮影することは非常に困難です。
そして、飛行機までの距離が離れている場所が多くなることから、望遠での撮影が必要になりますが、スマートフォンは現状望遠性能に乏しく、いくら望遠性能に優れたスマートフォンだからといって一眼カメラ×望遠レンズの画質には到底敵いません。
飛行機撮影に人気なのはキヤノン、ニコン

いざ一眼カメラを選ぶ上で最初のハードルとなるのが、カメラ選びになってきます。
そしてインターネットでの検索や家電量販店などに出向いてカメラを探してみると、想像以上に多くのメーカーがカメラを開発していることに驚くのではないでしょうか。
ただ、その中にはきっと知っているメーカーの名前もあるはずです。
飛行機撮影を行う上で特に人気のあるカメラメーカーは、「Canon(キヤノン)」と「Nikon(ニコン)」の2つに絞られるといっても過言ではありません。
その2社は、伝統的に飛行機写真愛好家から愛されてきた存在で、多くのカメラメーカーが参入してきた現代においても、飛行機撮影において特に信頼のできる製品を数多く展開しているメーカーとして私自身もおすすめできます。
ちなみに筆者が愛用しているカメラはCanonのEOS R6 Mark IIになります。
望遠ズームレンズが必須のジャンル

飛行機の撮影において、カメラボディよりも重要といっても過言ではないのが、レンズの存在です。
特に飛行機撮影においては、望遠側をカバーしているかつ動く被写体のため、レンズ側で画角を調整することのできるズーム機能を兼ね備えた「望遠ズームレンズ」が必須になります。
望遠側の目安となる焦点距離も35mm判換算で400mm以上が望ましく、「100-400mm」や「150-600mm」といった超望遠域をカバーしたレンズがおすすめになります。
飛行機撮影の基本
続いてご紹介していくのは、「飛行機を撮るときってどんな設定が良いの?」というテーマです。
飛行機撮影においてどのようなシーンを撮影するかにもよりますが、最も理想的なシチュエーションは、「快晴の昼間、機体が順光」の状態になります。
そのシーンを想定した基本的な撮影設定を解説していきます。
シャッタースピード1/1000秒以上を意識!

飛行機撮影は、基本的には動いている機体を撮影することが多くなります。
そのためカメラを左右に振った撮影が多くなるため、「手ブレ」や「機体ブレ」の発生に特に気をつけましょう。
手ブレを発生させない、機体をぶらさないためには、シャッタースピードの設定が重要になり、「1/1000秒」以上になることを目安にしましょう。
絞りは画面全体にピントが合うようにF8周辺

シャッタースピードと並んで、写真の仕上がりを左右する設定に「絞り」があります。
絞りは、F値と呼ばれる数値でも表され、F値の数値の大きさによってピントの合う範囲に違いが生じてきます。
飛行機写真の場合、ボケを活かした撮影は皆無に近く、基本的には画面全体でピントがあっていることが前提になります。
開放絞り値から数段階絞ったF8あたりの設定がおすすめとなります。
機首や水平尾翼が切れないように注意

飛行機撮影でよくある失敗例として、機首や機体後方の水平尾翼が切れてしまうことです。
飛行機写真において「機首」は、特定の部分のクロースアップを狙う以外、構図上絶対に切ってはいけない部分になります。
「水平尾翼」については、飛行機を横から撮影する際に気をつけたい部分で、線状に見えることからつい切れていることを見逃しがちですが、垂直尾翼を基準とせず、垂直尾翼から少し後ろ側に余白を持たせることも意識しましょう。
いずれの撮影シーンにおいても、離着陸時など高速で動く機体の撮影では、フレーミングが難しくなるため、機体の前後は余白を持たせることがおすすめです。
離着陸機を撮影するときはカメラの傾きにも注意


先ほどの機体の一部がフレームアウトしてしまう問題に加えて、飛行機撮影をはじめた段階で陥ることが多いのが「離着陸機に合わせてカメラが傾いてしまう」ことです。
特に離陸機は、離陸とともに地上では水平だった機体の角度が、上昇に伴って斜め上を向くため、その機体の角度に合わせてカメラも傾いてしまいがちです。
あくまでカメラは、地上が水平になることを基準として合わせることを意識して、機体の角度につられないように注意しましょう。
はじめての飛行機撮影におすすめの空港
ここからは、はじめて飛行機撮影に挑戦したいという方におすすめの空港をご紹介していきます。
幸いなことに、日本各地の空港は、飛行機撮影に優しい環境が整えられており、各空港ターミナルには展望デッキが大半の空港で設けられているため、飛行機に乗る前や到着した後の空き時間などを活用して気軽に撮影を楽しむことができます。
羽田空港


首都圏にお住まいの方のみならず、全国の方におすすめしたいのは、やはり日本最大級の空港である「羽田空港」です。
3つの旅客ターミナル、4本の滑走路を誇る世界に誇る巨大空港でありながら、飛行機撮影を始めるのにも適した環境が整っています。
筆者自身も飛行機撮影を初めて行ったのは羽田空港で、今も拠点とする空港として連日通う日々が続いています。
第1~第3ターミナルの各ターミナルで展望デッキが存在し、空港周辺にも「ソラムナード空港緑地」や「羽田イノベーションシティ」「浮島町公園」「城南島海浜公園」「京浜島つばさ公園」といった、飛行機撮影を楽しむことのできる外周スポットが点在します。
成田空港


千葉県に位置する日本の玄関口である成田空港も飛行機撮影をはじめるのにおすすめの空港です。
先ほどの羽田空港と比べて内陸に位置していることから、空港周辺どこからでも撮影することができ、特に桜の季節になると「さくらの山」や「さくらの丘」といった公園で、桜を飛行機を絡めた撮影を楽しめることで大人気のスポットです。
また、羽田空港と並ぶ日本最大級の空港ですが、羽田空港よりも国際線の便数が多く、見られる海外の航空会社の数は成田空港の方が多くなります。
巨大な旅客機として有名なエアバスA380やボーイング747(貨物機として)も、成田空港の方が数多く飛来するため、羽田空港と比べて飛行機のバリエーションが異なることもおすすめポイントです。
伊丹空港


関西地方で国内線ネットワークの中心空港である伊丹空港は、関西圏にお住まいの方が飛行機撮影を始めるのにおすすめの空港です。
歴史ある空港であることから、市街地の中に存在する立地条件で、街の上を低空で飛行する様子を撮影することができるなど、迫力を重視した撮影を行いたい方には必見の空港です。
特に空港外周の撮影ポイントが充実しており、着陸寸前の飛行機を真下から撮影することのできる「千里川土手」や、滑走路までの距離の近さが魅力の「伊丹スカイパーク」や「スカイランドHARADA」など、国内屈指の撮影環境の良さが光る空港です。
福岡空港


九州の玄関口である福岡空港も撮影環境の良さに定評のある空港です。
特に2020年にリニューアルした国内線ターミナルの展望デッキは、手の届きそうなほど飛行機に近づけることで人気を集めており、朝の順光の時間帯やドラマチックな夜間の撮影にもおすすめです。
2025年に滑走路が2本へと増加しましたが、依然として着陸の滑走路は1本で運用されているため、豊富な便数に対して撮り逃しのリスクが非常に低いこともおすすめポイントの1つになります。
飛行機撮影応用編
まずは、空港の近くへと行って自由に飛行機を撮ってみることがおすすめですが、慣れてきたら「撮りたい目的」を持って撮影に臨むのもおすすめです。
ここからは、飛行機撮影における定番の応用テクニックについてご紹介していきます。
流し撮りにチャレンジ

飛行機撮影の基本のところでシャッタースピードの低下への注意についてご紹介しましたが、あえてシャッタースピードを低下させて撮影する「流し撮り」という撮影手法も存在します。
例えばシャッタースピードを1/60秒や1/80秒に設定して、ファインダー内で離着陸する機体を追いかける様に撮影することで機体だけはしっかりとブレがなく、背景だけが流れている躍動感のある写真へと仕上がります。
設定自体はシャッタースピードを調整するだけなので簡単ですが、シャッタースピードが低下するほどわずかでも機体の動きから外れてしまうと写真全体がただの手ブレ写真になってしまうため注意が必要です。
意外にも成功率は低くなるため、日々の練習が重要になってきます。
夜間の撮影にチャレンジ

飛行機は昼夜問わず運航されているため、夜間の時間帯もシャッターチャンスです。
夜間の空港は、誘導路や滑走路、ターミナルといった様々な場所がまるでイルミネーションのように灯されるため、ドラマチックな写真撮影が可能です。
夜間の撮影は、先ほどご紹介した「流し撮り」を活用した撮影スタイルも良し、三脚を活用してシャッタースピードを長めに設定した「長時間露光」、手持ちでも高いISO感度を設定した「高感度撮影」など、様々な撮影スタイルが考えられます。
昼間の撮影よりも工夫を凝らすことができるため、ぜひ夜間の撮影もトライされてみてください。
風景と絡めた情景カットにチャレンジ

空港は、日本全国、世界各地に点在します。
そのため、各空港の所在地によっては、その土地ならではの景色と絡めた撮影を行うことができるため、風景と飛行機を絡めた情景的な写真撮影もおすすめです。
国内であれば、南は沖縄、北は北海道と、四季折々さまざまな情景と絡めて撮影することのできる空港が存在するため、そのような空港では、空港から少し離れて、景色と絡めた撮影ができるポイントをロケハンしながら楽しむこともおすすめです。
生涯楽しめるおすすめの趣味

冒頭でもご紹介しましたが、私自身、飛行機撮影を始めてから20年が経過しましたが、これまで飽きることはありませんでした。
今では仕事としても飛行機を撮影していますが、仕事の撮影以外でも飛行機は好きで空き時間などに撮影しているため、趣味という感覚は変わりません。
それだけ熱中できるのも、飛行機撮影の面白さや、時代に合わせて撮影できる機体や航空会社の塗装が頻繁に変わること、撮影したいと思える場所が世界中に溢れているなど、終わりのない探求心を引き立ててくれるからこそだと感じています。
一生を共にする趣味として「飛行機撮影」を始めてみてはいかがでしょうか。